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Day18 その3 バイクテック

Posted by on 2011/02/13
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バイクテック

病院からバイクテックという自転車屋さんまではタクシーで向かった。

「そういえば病院でジャージ切られたから、新しいジャージを店で1つ選んでいいらしいよ」

そう言うと、M女史はかなり元気になった。タクシーは5分ぐらいでバイクテックにたどり着いた。



早速店の中に入ると、中では数名のスタッフが作業をしていた。僕らは店長らしき人物に初めましてと声をかけた。

「やあ、君たちがそうかい?サンフランシスコから来たんだって!自転車は今見ている所だよ」

そう言うと、店長はバイクスタンドに取り付けられたM女史のバイクを指差した。バイクはあらかた悪いところが無いか調べ終わったところで、走るのには支障は無さそうということだった。修理を進めるのに保険会社との話が終わっておらず、今それを待っているところだった。保険会社とは店の副店長が電話で話をしていたが、なかなか話がややこしいようで副店長は手をこまねいていた。アメリカ人でもややこしい話を僕らが簡単に理解できるはずもなかった。とにかく、M女史は絶対今日中に自転車を直してほしい思いでいっぱいだった。
そこで副店長は助っ人を呼んだのである。その助っ人とは大学の教授とその奥さんで、奥さんの方は何と日本人だったのである。その奥さんにお願いしてややこしい話を通訳してもらおうというのである。そうして教授とその奥さんは店まで来てくれることになり、僕らは店で待つことにしたのだった。




店で待ってる間、僕らは店の中を見てまわった。その店は結構広い店であらゆる物が揃っていた。
カンザスの平原で出会った、あの自転車乗りが犬を乗せて引いていたのと同じリアカーも売っていた。
自転車のメーカーも色々あったが、目立ったのはサーベロだった。店にはサストレのサインも飾ってあった。
そして何より、自転車に付けるカバンの種類が豊富だった。M女史の自転車のカバンは壊れてしまったので、新しいバッグを選ぶ必要があった。ラッキーなことにこの店は品揃えが豊富でありとあらゆるかばんがあった。
M女史はちょうど今までのと同じようなサイズでそれほど重くないカバンを見つけた。そして、まだ保健の話も終わってないというのにそんな事はそっちのけで、自転車にそのカバンが付くのか試してみるのだった。そのカバンは実に彼女の自転車にピッタリだった。
それから、新しいジャージも探してみた。すると黄色の布地に赤い花の模様が描かれた素敵なジャージが売っていた。ひと目でそれを気に入った彼女はそのジャージを選んだのだった。
30分ほどして教授とその奥さんがやってきた。ややこしいと思っていた話も結果的には加害者の女性が保険会社とちゃんと話をしてくれていたようで、教授夫妻が来てすぐに話は解決したのであった。
僕らを助けるために店までわざわざ来てくれて僕らは本当に嬉しかった。特にM女史は久々に日本語が通じる相手と出会い、今まであったことなどを奥さんとずっと話していた。教授も大の日本好きで、その話にずっと耳を傾けていた。
保険の話が解決して、店長はよーしとばかりに修理を始めた。まずはさっき選んでおいたカバンを取り付けた。それからついでに、タイヤも新しいのを買って付け替えてもらった。作業している店長の姿は本当に丁寧だった。自転車も治してもらって喜んでいるようにも見えた。他に悪いところが無いかもみてもらい、ディレイラーの調整などもしてもらって、すっかり自転車は元通りになった。保険の話がこじれていたら、修理はもう何日かかかっていたかもしれない。こんなにスムーズに事が進むのはとてもラッキーなことだった。
M女史は感謝の気持ちでいっぱいで、店長にお礼を言った。店長はどういたしましてと笑顔で答えた。


↑バイクテックの店長。自転車を直してもらった。


↑店の前で写真を撮った。左は教授の奥さん。背の高いのが副店長。

最後に僕らは店の前で写真を撮った。シャッターは教授が押してくれた。
今日も本当にたくさんの人に僕らは助けられた。それはいくら感謝してもしたりないほどであった。

ホテルへ

僕らはバイクショップを出ると、教えてもらった道を進みホテルを探した。ここでも教えてもらったのは、いつものリッチモーテルだった。しかし、たどり着いた場所にはそのモーテルはなかった。仕方なく僕らは別のモーテルを探したのであるが、ついさっき通ってきた所にホテルがあるのを見ていたので、そこをあたってみることにした。
ルート66ホテル。そこはあの有名なルート66をモチーフにしたホテルだった。でも目の前の道路はルート55だった。
値段はさほどモーテルと変わらないぐらいだった。僕らはここに泊まることにした。

ルート66ホテル



そのホテルにはランドリーもアイスマシンも設置してありバッチリだった。早速洗濯!と思ったのだが、なんとランドリーのコイン入れが壊れていたのだった。どうやっても中にコインが入らない。これは、明日も同じレーパンか?ふとその考えがよぎったが、ちょうど近くをホテルのメイドさんが歩いていた。事情を話すとそのメイドは任せてとばかりに少し後ずさったかと思うと、助走を付けてアチョ?とコイン入れに掌底を食らわせた。するとガッチョンといってコインは中へ入っていったのである。僕は目が点になった。

「あ、ありがとう」

どういたしましてと、メイドは何処かへ行ってしまった。



洗濯をしている間、僕らはご飯を食べることにした。ちょうどそのホテルにはレストランがあったのでそこで食べた。
僕は今日は豪勢にいこうと思い、一番凄そうな肉料理を注文した。M女史は肉がダメなので、野菜の料理がないか探した。そして野菜のピタサンドを注文した。
しばらくして注文した料理が出てきた。僕の方は普通にうまい肉だったが、M女史の方は何やら怪しげな緑色の物体に包まれた食べ物が出てきた。食べているとウェイターが様子を伺いに来る。

「どう?おいしい?他に必要な物があったら言ってね」

気を良くして聞いてくるウェイターにまさか美味しくないなんて言うはずもなくGoodと答えるのであるが、M女史の緑の物体は実に微妙な味だったらしい。
晩ご飯を食べ終わり、やっと今日の長い一日が終わるかと思ったが、そう簡単にはその日は終わらなかった。
洗濯が終わり乾燥機にかけようとしたのであるが、乾燥機のコイン入れも壊れていたのである。僕はよーしとばかりにアチョ?を連発したのであるが、そのコイン入れは僕ごときのアチョ?ではどうにもならなかったのである。
その後が悲惨で、フロントに近くにランドリーショップが無いか聞いて外に探しに行くも見つからず、結局部屋のドライヤーで地道に洗濯物を乾かしたのであった。
長い一日はついに幕を閉じた。毎日がむしゃらに走ってきた僕らに「今日は休みなさい」とほんとに何かが言っているような気がしてならなかった。それとも、この先さらに市街地が増え車も多くなる。今日の出来事はこの先を進む僕らに対する警告であったのかもしれない。
とにかく、今まで以上に気を引き締める必要があるのは確かだった。この日を境にして僕らの走り方には少し変化が現れてくるのだった。

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