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Day03 ネバダ州へ

Posted by on 2010/11/16
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今日のルート



今日からルートは木の生えてない荒野、砂漠地帯へと入る。アメリカ大陸横断するにあたり、最も過酷な日々が始まろうとしていた。今日の距離は210km、そこまで走らないと街はなかった。途中の状況をマイクの持っていロードマップで確認したが、片手で数えても余る程の街しかないようだった。
今日はいよいよネバダ州へと突入する。距離はちょうど中間ぐらいだ。まずはそこを目標に走ることにする。
標高は2000m付近をアップダウンしている。最後は街まで長い登りが待っているようだった。

湖沿いの道



今日もマイクの作ってくれた朝ごはんを食べて、まだ太陽も昇っていない暗いうちにスタートした。今日の距離は200kmを少し超えるので、早めにスタートしたかったのだ。
しかし、話をしながら走っていたら?いきなりロストしてしまったのだった。アメリカの道路は反対車線が結構離れたところを走っている場合がある。┤路路を左に曲がる場合、その反対車線が┤路路になっているのだが、遠くの反対車線を注意深く見ていないと見逃してしまう。左車線からは単に中央分離帯が途切れているようにしか見えないからだ。この時は通り過ぎて程なく気が付いたので、ほんの数キロ戻っただけだった。






正しい道へと戻り、しばらくの間湖沿いの道を進む。振り返ると、遠くに昨日下ってきたヨセミテの山脈が見えた。



この辺りは松の木がまばらにはえている。そして巨大なまつぼっくりがゴロゴロと落ちている。標高が高いとまつぼっくりは大きくなるのだろうか?





太陽が山の端から登ってきた。僕らは走りながら夜明けを迎えた。澄みきった空に登る太陽は眩しくて、でも、とても綺麗だった。

砂漠の地へ






景色はいよいよ木の生えてない完全な荒野に変わり、とても先の方まで道が見えるようになる。延々先まで続く道をみているとうんざりした気持ちになるが、数日もたてばそれが当たり前になり何も感じなくなった。



周りに生えている草木はいかにも砂漠といった感じ。残念ながらサボテンは生えていなかった。テキサスとかもっと南の州の砂漠にはサボテンが生えているのだろうか?



最初の町までは下り基調で追い風もあって軽快にすすんだ。ただ道路のヒビ割れが相当ひどい。なるべく体に負担をかけないようなフォームをとる必要があった。

最初の町



比較的長い下り道を下ると、ちらほらと家が建っているのが見えた。今日最初の町についたのだった。町といってもほとんど何もない。ただ一軒だけある小さなガソリンスタンドには小さなカフェがあった。一応一組の客がいたようだ。



ここでマイクと待ち合わせしていたのだが、余りに軽快にすすんだのでマイクより先に着いてしまった。とはいうものの、マイクはほんの数分後には追いついてきた。
僕らがモーテルを出た後、マイクはモーテルの片付けなどをしてくれている。そしてスタートの町で店が開く7時ぐらいまで待って、今日の補給食など買い出しをしてから出発するのだ。追いついてすぐにマイクは飲み物とサンドイッチを出してくれた。
食べながらこの先のことを話す。もう少し行くとネバダ州の州境がある。ここからだと20kmぐらいでそこで記念撮影しようとか、ここから道は6号線になるのでトラックが増えそうだとか話した。

ネバダ州

6号線になると道のヒビ割れは少なくなったが、かわりにマイクの言ったとおり車が増えた。時折大きなトレーラーが追い抜いていく。道は平らに見えて微妙な登り。明らかに時速が落ちているのがわかった。




ネバダ州の州境まではさほど時間もかからずたどり着いた。そこには「ようこそネバダ州」と書かれた立派な看板があった。振り返ると今まで走ってきたカリフォルニア州の看板もある。しかし看板以外は周りには何もない。
初めての州境に僕らは胸を踊らせた。とはいうものの、ここまでで総距離はまだ500km。全体の1/10しか進んでいないのであった。記念撮影をした後、僕らは先を急いだ。

町?



州境から十数キロ緩い登りが続きひとつ峠を越える。時間はお昼に近づき気温はぐんぐんと上昇してきた。



峠を越えると長い下りだった。まっすぐな下りを気持ちよく下った。道は向こうに見える山までまっすぐと続いているのが見えた。



道はやがて平坦になった。そして、風が強くなってきた。アメリカの天気はどうも午後になると強烈な風が吹くらしい。追い風であればいいのだが、なぜか向かい風になることが多かった。道は延々とまっすぐで、つまりそれは延々と向かい風なわけで、あまりのすごさに砂漠の真ん中で少し休憩した。
しばらく進むと道は95号線と合流する。マイクの持っていた地図によるとそこに町があるはずだった。95号線と思われる交差点が先の方に見える。そして何か建物が建っている。あそこが町だろう。




しかしそこにたどり着いて愕然とした。そこはゴーストタウンだったのである。建っている建物はもぬけの殻で、人気は全く感じられなかった。人がいなくなってもうずいぶん経っているようだった。
マイクはそのゴーストタウンに先回りして待機していた。止まると太陽の日差しが刺すように痛かった。マイクの用意してくれたコーラが美味しかった。
もしマイクがいなかったら僕らはこのゴーストタウンでどうなっていただろうか?コーラどころか喉の渇きを潤すことすらできず、先に進めなくなっていたかもしれない。



マイクが遠くを指差した。砂煙が渦を作って空へと舞っていた。竜巻ほど大きくはないあれはなんなのだろうか?マイクに日本語で何と言うのか聞かれたが、初めてみるそれがなんであるか答えることはできなかった。

砂漠の街トノパー

今日のゴールの街は坂を登りきったところにある。その街のある山は30kmぐらい手前から確認することができた。道はびっくりするぐらいまっすぐで、街に近づくにつれて徐々に斜度が上がっていった。それに加えて強烈な向かい風だった。
街の20km手前ぐらいから道は完全に登りとわかるぐらいの斜度で、向かい風のため時速は10km出ればいい方だった。車も多いので、かなりの細さの路肩を延々と進まなくてはならなかった。ゴールの街は見えているのにちっとも近づく気配はなかった。1時間ほど走ったので残り半分ということになるが、見えてる街の大きさはほとんど変わっていなかった。
お腹もすき、喉も乾いてくる。今日もまたハンガーノック気味になりながら更に1時間後、ようやく街の入り口にさしかかったのであった。
到着したのは18時10分。距離は最初少しロストしたので212kmだった。街が見えた時はもう少し早く着けると思っていたのだか、アメリカの道はそう簡単には僕らを進ませてはくれなかった。とにかくもうしゃべる元気もないぐらい疲れて、明日からも大丈夫なんだろうかと思った。

今日のモーテル

今日のモーテルだが事前に予約をしていたところがなぜか予約されておらず、急遽マイクが別のモーテルを探してくれていた。モーテルの名前はトノパーモーテルなのだが、変更になったためモーテルの場所がわからず少し探すのに時間がかかってしまった。
マイク曰く、ここのモーテルのおばさんはいろいろと口やかましいらしく「オニババいまーす」ということだった。そのオニババはずっとビールを飲んでいて、自転車は部屋の中に入れたらダメだとか、洗濯物は外に干すなとか、料理したらダメだとか、とにかく何でもダメダメ攻撃だったのである。
僕らはオニババの監視をかいくぐって、任務を遂行する必要があった。自転車は袋にくるんで部屋の中に荷物として持って入った。洗濯は昨日の事件があったので手洗いして外に干していたが、しかたがないので乾燥機で乾かした。部屋はカーテンを閉め切って影でコッソリ晩ご飯を作った。

砂漠の星空

この街から少し車で走ると、街のあかりも見えなくなって星が綺麗に見えるらしい。予定ではマイクが僕らをサポートできるのは明日までだった。三人でそんな星空を見られるチャンスはもう無いだろうから、僕らは夜のドライブに出かけたのだった。
街を出て今日登ってきた道の方へと下る。自転車だとあんなに時間がかかったのに、街はあっという間に見えなくなってしまった。
車のエンジンを止め外に出ると、周りは完全な暗闇だった。僕らは空を見上げた。なんと表現すればいいんだろう。地球から見える星空ってこんなだったことを初めて知ったかもしれない。天の川はほんとに白く、どこにどの星座があるのかわからないぐらい星が輝いていた。ひときわ大きなしっぽの流れ星が空を駆け抜けた。僕らはおーっと歓声をあげた。それは願い事をするのを忘れるぐらい美しかった。しばらく僕らはそこで星空を見上げていた。

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